「茹で上げあずき」と
歌舞伎座のおいしい関係。

甘味のあずき作りは、前日より大納言あずきを洗って
水に浸して膨らませることからはじまる。
豆の粒形を保つため、籠に入れてから昔ながらの木蓋の乗ったマンボウ釜で、
職人がひと釜ひと釜つきっきりで炊き上げる。
火力が強く豆を炊くことに適しているため、火はプロパンガスを使用している。
気圧が影響し沸点が毎日微妙に変わるので炊ける時間は日によって異なる。
職人はそこを見極めて炊き上げる。
ひと粒ひと粒ふっくらとして艶やかに炊き上がったあずきは、
徐々に甘みを足しながら、冷やしては温めを数回繰り返して糖度を上げていく。
味わいや風味を引き出すために伝統の製法を守り続けているからこそ、
多くの人々の舌と心をつかんで離さない。